ECサイトのデザインは売上に直結します。デザインといっても、単におしゃれで印象的な画像を使用するだけではなく、コンテンツやテキストの内容・レイアウト、ページの配色や演出方法など、ECサイトのデザインは広範囲にわたります。
しかしECサイトのデザインといわれても、ユーザーによって利便性が高く、かつ消費者の興味を惹くデザインとはどのようなものかイメージを持ちにくいかもしれません。
今回はECサイトのデザインのポイントを中心にご紹介します。最後までお読みになることで、ECサイトのデザインが具体的にイメージできます。
ECサイトのデザインの重要性
ECサイトは実店舗のように対面で顧客に接客ができず、顧客も実際に商品を手に取れません。そのため、売上アップを狙うなら商品の写真や紹介文などは売上を左右する一つの要素となります。ECサイトを訪問したユーザーに対して、いかに商品の魅力を瞬時に伝えるかがポイントです。
よって、ECサイトのデザイン制作では、ユーザーによい第一印象を与えて、売上につなげられるようなデザインが求められます。ECサイトのデザインを入念に考えることは、サイトの構成段階で大切な工程です。
ECサイトのデザインの基本
ECサイトのデザインの重要性を確認したところで、今度はデザインの基本を見ていきましょう。ここでは最低限押さえて欲しい4項目をご紹介します。
独自性を意識する
ECサイトのデザインを具体的に考える前に、ブランドイメージを固めてください。ブランドイメージはほかのECサイトとは異なる点、つまり独自性を意識することが大切です。競合サイトと類似したブランドイメージでは、ユーザーは購入するベネフィットが見えず、選ばれないからです。
そして、コンセプトやターゲット層をもとに、それに応じたロゴや配色、バナーなどを検討する必要があります。自社のECサイトのブランディングがなされていれば、商品がより魅力的に見えます。
シンプルに統一する
ECサイトを構築する際は、ユーザー目線でデザインを判断しなければなりません。使いやすいECサイトとは、シンプルなデザインで統一されています。シンプルなデザインとは、見やすく情報が整理されている状態です。カテゴリ分けや情報(コンテンツなど)の配置が整理され、必要最低限の情報のみ記載することで、ユーザーは直感で目的の商品を探しやすくなります。
また、デザインがシンプルであれば、ユーザーは閲覧時にストレスを感じにくく、回遊率を高めることにもつながります。
「たくさんの情報を書き込みたい」、「ユーザーに伝えたい」ならば、動画を挿入したり掲載する画像を工夫したりするなど、ほかの手段を選択しましょう。
購入までの導線をわかりやすくする
ECサイトのデザインをシンプルにするだけでは、売上につながりません。デザインをシンプルにすることは、あくまでもユーザー向けに情報を整理して滞在時間を長くすることが目的だからです。
しかし、滞在時間が長ければ必ず売上につながるとは限りません。ユーザーが得た情報から購入までをスムーズに導き、購入率を高める必要があります。トップページや商品ページ、カートページ、決済ページとスムーズに進める導線が求められます。
マルチデバイスに対応する
ECサイトは、スマホに対応したデザインが大前提です。スマホに非対応のECサイトは、スマホで閲覧したときに情報が小さく表示され、ユーザーにストレスを感じさせます。結果として本来のデザインのよさが伝わらず、滞在時間も短くなるのです。
よって、ECサイトはパソコンだけではなくスマホやタブレットなど、さまざまなデバイスから見やすいデザインが求められます。基本的にはスマホに対応できるレスポンシブデザインを採用してください。
おしゃれなECサイトのデザイン
ECサイトのデザインをベースに、第一印象につながるデザインを確認しましょう。下記でおしゃれなECサイトに採用されやすいデザインの手法をご紹介します。最近のトレンドのデザインも含まれるため、ECサイトの構築の際に活かしてみましょう。
3Dアニメーション・3Dグラフィック
ECサイトを含むWebサイトは基本的に平面での表現ですが、3Dの要素を取り入れることで表現の幅が広がります。特に現在はパソコンだけではなく、スマホ画面でも3Dグラフィックや3Dアニメーションの表現が可能です。
平面(2D)だけでは表現できないデザインを、動きのある3Dアニメーションや3Dグラフィックで取り入れれば、リアルに近い状態で商品をPRできたり、臨場感を演出できたり、ユーザーをブランドの世界に惹きこみやすくなります。ユーザーの離脱率の低下や回遊率の向上などに効果が期待できる手法です。
ミニマルデザイン
ミニマルデザインは近年トレンドになりつつある、装飾を最小限に抑え、不要な機能や要素をそぎ落とすデザイン手法です。情報を必要最小限にすることで、ユーザーに伝えたい情報を印象づけられます。
一例を挙げると、AppleのWebサイトはミニマルデザインといえます。AppleのWebサイトは情報が整理されており、iPhoneなど機種の画像を大々的に掲載しているWebサイトです。
しかし、ミニマルデザインはシンプルなデザインだからこそ、限られた要件で顧客に訴求する難しさがあります。
パララックス・アニメーション
パララックスは視差効果を利用したデザインです。平面的なWebサイトに立体感や遠近感を演出できます。具体的には、画面のスクロールに連動したアニメーションのことです。
画像がスクロールに応じて動くパターン・画面のスクロールとずれて画像が動くパターン・セクションが重なり合って紙芝居のようになるパターンの3種類に分類できます。なお、パララックス・アニメーションは海外サイトで見かけることが多いデザインです。
スプリットスクリーンレイアウト
スプリットスクリーンレイアウトは、画面を分割してそれぞれ引き立たせるようなデザインをレイアウトしている手法です。例えば、画面を分割した一方を画像、もう一方をテキストなど個性的なデザインにできるため、一つの画面に世界観の異なるページを演出できます。
また、スプリットスクリーンレイアウトはレスポンシブデザインと好相性です。パソコンの画面では横並びのデザインをスマホでは縦並びに表示します。より個性を目指したデザインにしたい場合に適しています。
レトロモダン
レトロモダンは、1980年代や1990年代に見られた配色や装飾を取り入れたデザインです。レトロモダンをあえて取り入れることで、懐かしさと先進感を同時に演出でき、ブランディングにつながります。ユーザーの中には1980年代や1990年代のデザインを真新しく感じる可能性があるからです。
メリハリのある配色や太めのボーダーを取り入れると、個性あるデザインにつながります。ただし、レトロモダンはフォント選びに難しさがあるため、よく吟味して選んでください。レトロモダンを採用しているECサイトからデザインを分析しましょう。
ECサイトのデザインをおしゃれにするポイント
より魅力あるデザインにするために、上記で紹介したデザインの手法に加え、以下のポイントも取り入れてみましょう。
トレンドを取り入れる
ビジネスは流行りを取り入れることで、ユーザーの興味を惹くことがあります。そこで先述したおしゃれなデザインを参考に、ECサイトに取り入れてみましょう。トレンドを取り入れてユーザーの興味を惹くと、集客や売上につながります。
必ずしもトレンドを取り入れればよいわけではありませんが、ECサイトのデザインの方向性などで迷っているならば選択肢の一つにしてみましょう。そのためには、常に最新のデザインの傾向をリサーチし、トレンドの分析が欠かせません。
商品を主役に設計する
売上につなげるには商品が魅力的に見えることが前提です。そのためには、実際に商品を使用する場面をイメージできるように写真や動画、紹介文を作りこむ必要があります。ポイントは商品について何を一番に伝えたいか、じっくり考えることです。
機能性や使い心地を画像や紹介文で伝え、最終的に商品を購入することで得られるベネフィットまで感じてもらう必要があります。その際は不要な写真や文章を削除して、余計な情報をユーザーに与えないことが大切です。商品の魅力がユーザーへダイレクトに伝わるように工夫しましょう。
ボタンの配置をわかりやすくする
商品の魅力を感じたユーザーに向けて、スムーズに購入ボタンを押せるような配置が大切です。購入意思があっても購入までの導線がわかりにくいと、成約につながらない可能性があるからです。
ユーザーがボタンを見つけ購入ボタンを押すまで、流れるような配置を考えましょう。感覚的な操作で購入までたどり着く導線が理想です。特にスマホからの注文は、画面の大きさからボタンが小さくなります。パソコン画面以上に気を配ったボタンの大きさと配置にしましょう。
デザイン後も常に改善する
ECサイトは一度構築したら商品が勝手に売れていくわけではありません。商品の追加や在庫切れ商品の非表示化など、情報をアップデートしながらデザインを変更し続ける作業が必要です。ターゲットから購入されない状態が続くならば、デザインの刷新も必要でしょう。
よって、売上が思うように行かないときは、どこに問題点があるかを分析して改善する必要があるのです。課題を見つけるときは、コンバージョン率(成約率)の変化やサイト内の動線、回遊時間などを中心にさまざまな数値の推移をもとに検証します。
おしゃれなECサイトのデザイン事例
既に運営し成功をおさめているECサイトを見ていくと、学びがたくさんあります。大手4社のECサイトをご紹介しますので、それぞれのデザインの特徴を確認しましょう。
ユニクロ
ユニクロのECサイトは、実店舗で試着できない消費者の不安を払拭する工夫がほどこされたデザインです。実際に服の着用シーンや着回し方法が商品ごとに掲載されています。画像だけでなく動画を交えることで、実際に購入後の着用イメージがわき、ユーザーは私物の服との組み合わせを想像しやすくなるのがポイントです。
身長や体重、好みの居心地など簡単な質問に応えるだけで、自分にぴったりのサイズを提案してくれるサービス「MySize ASSIST」の搭載も、試着できず購入を躊躇しやすい消費者を後押ししています。
資生堂ワタシプラス
化粧品メーカーの資生堂は、「資生堂ワタシプラス」というサイトを運営しています。トップページにさまざまなメニューを表示させることで、ユーザーがケア目的に合わせて商品を選びやすく、感覚で操作しやすいデザインです。また、商品ページでは最新商品や人気ランキングなどが一目でわかり、ユーザーの購買行動につなげています。
Apple
Appleは動きのあるECサイトに仕上げており、クリエイティブさが特徴です。ユーザーにとってインタラクティブな体験ができる要素を備えています。3Dアニメーションにより、製品の外観だけではなく内部のテクノロジーも効果的に伝えています。
ニトリ
ニトリでは店舗に来店して商品のサイズや仕様を確かめてから、帰宅後にECサイトで購入するユーザーが存在します。それを逆手に取り、ECサイトでは店舗に置けないサイズ違いや色違いの商品を魅力的に掲載しています。特にトップページの情報量が豊富で、よりユーザーのニーズを満たせるデザインです。
ECサイトをおしゃれにデザインしよう
売上につなげるためにも、ECサイトのデザインに一工夫加え、おしゃれで魅力的にしたいところです。今回ご紹介したデザインの基本を押さえつつ、トレンドなども取り入れて差別化できるECサイトを構築してください。
デザインに迷ったときは、既存のECサイトを参考にして理想に近づけましょう。より成果の上がるECサイトのデザインについてはSeekNext合同会社にご相談ください。
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